体験談3

大人になるにつれて、人に優しくされる経験は減ってしまうように思います。大人になると、忙しない仕事や、単調な日常生活などの影響で、誰しもが余裕がなくなってしまうものです。そのような状況の中でも、人を気遣って優しくしてくれる人というのは尊敬に値します。
私は最近、大変ありがたいことに、そのような人に会うことが出来ました。
3ヶ月ほど前のことです。当時私は、大型商業施設の雑貨を取り扱う店舗でアルバイトをしていました。働いていた店舗は、そこそこ規模の大きい店舗で、繁忙期ともなれば非常に混み合って、生き馬の目を抜くような忙しさでになります。働いていた当時、あまりの忙しさで、今思うと心身共に少しおかしなことになっていたのだと思います。共に働いていた従業員、ご来店して下さったお客様、ありとあらゆる人が敵なような気がしていて、人と目を合わせることがとても苦痛でした。さらに、謂れのないクレームも重なり、強く人間不信になっていたのを、今でも覚えています。
3ヶ月ほど前のある日、私はお店の外で、商品の売り場を作っていました。そこで、1人のお客様から声を掛けられました。最初は、当時の陰鬱な気持ちと、終わる気配のない仕事のせいで、話しかけられるのがとても億劫でした。それでも、笑顔は作らねば、と思い精一杯の作り笑顔で、お客様に返事をしたのです。私の失礼な作り笑顔も、気にした様子はなくお客様は会話を続けました。
会話の内容は、お手洗いの場所の問い合わせでした。クレームや商品の問い合わせに比べれば、だいぶ楽な内容です。少し安心した私は、一番近いお手洗いの場所を答えました。ありがとう、とおっしゃってお客様はその場を去って行きました。その後すぐに、自分の仕事に戻ったのですが、10分程して、そのお客様が再び戻って来たのです。私は、どうしたんだろう、と思いお客様の方に目を向けました。すると、そのお客様は、私を探していた様子で、こちらに向かって来ます。お客様は、「本当にありがとう。なかなか教えてくれる人がいなくて困っていました。自分の仕事とは関係ないのに、丁寧に教えてくれてとても嬉しかった。それを伝えたくて、戻ってきた。」とおっしゃったのです。わざわざお礼を伝えに来てくれたのか、と驚きました。さらに、お客様は続けます。「以前も立ち寄らせてもらって、あなたが接客してくれた時も気持ちのいい接客で、ずっとお礼がしたかった。また会えてよかった。辛そうな顔をしてるけど、大丈夫?無理せず、頑張ってね。私はあなたのファンです。応援してます。」そういうと、帰っていきました。驚きのあまり言葉が出ませんでした。面倒臭いと思ってしまったことを、とても反省しました。今でも思い返すと、反省したくなります。暗かった気持ちも吹き飛び、幸せな気持ちになったのを強く覚えています。今でも、その優しい言葉は私の宝物です。
また、私自身も誰かを幸せに出来るような、優しい言葉を辛そうにしている誰かに掛けたいと思います。
優しい言葉は、誰かを救えるし、その人を変えることができるんだ、と実感しました。
以上が、私の体験談です。